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COLUMN&INTERVIEW

100円で始めるサステナブル(5)「お金を使う」のその先にあるゴール

5回の連載も最終回となりました。
今回は、ファイナンシャルプランナーの立場から“ライフプランニングって、結局、何のためにするの?”をテーマにお話しします。

ライフプランニングの目的

ライフプランニングの目的は、自分の一生の中で「限りあるリソース(資産)を、バランスよく配分する」ことです。

資産の配分について、二つのポイントを挙げてお話しします。

一つ目は、資産は使って初めて活きるということ。

二つ目は、お金以外の資産が重要だということです。

資産は使って初めて活きる

まず、資産は「使って」初めて活きます。逆の言い方をすれば、お金を”持っているだけ”でいるうちは、何にもならないということです。

想像してみてください。

手元に100万円の貯金がある人と、1,000万円の貯金がある人。あなたは、どちらのほうが、どのくらい生活が豊かだと思いますか?

お金がないよりあったほうが、余裕を持って暮らせるはず…とはいえ、持っているお金だけでは、実際の暮らしぶりは想像しづらいところです。

これと違い「毎月の生活費が100万円の人と、1,000万円の人」だったら、生活のボリュームに大きな差があるのだろうと見当が付きます。

お金は、持っているだけで豊かになるのではありません。使って初めて、その効果が生まれます。

時間や健康も自分の資産

二つ目のポイントです。お金以外の資産の重要性について考えてみましょう。

例えば、海外旅行に行く!ということを目標に100万円を貯金したとします。

さきほど伝えたように、持っているだけでは、お金は“紙”あるいは、通帳の“数字”でしかありません。

それでは、貯めたお金でいざ旅行に行こうというときに、他に必要なものは何でしょうか。

ひとつは旅行に行く“時間”です。生活に困らないだけの収入があっても、仕事が忙しくて休みも取れない日々が続いている…そんな状況では、とても旅行には行けないですよね。

ほかにも「家族と一緒に旅行を楽しみたい」と思っても、普段から家族との“信頼関係”をおざなりにしていると、一緒に楽しむことは難しいでしょう。充分に旅行を楽しめるだけの“健康な身体”がないときにも同じことが言えます。

「時間」「人との関係」「健康」のほかにも、「キャリア」「スキル」なども自分の資産です。「お金以外」の資産もバランスよく持っているからこそ、お金を有効に使うことができるというわけです。

お金を「使う」の向こうにあるゴール

ライフプランニングのゴールは、「金融資産を○○万円に増やすこと」ではなくて「増やしたお金を使って、豊かに生きること」にあります。

教育・住まい・遊び・健康、それぞれ必要なときに必要なお金が使えるように、生涯にわたって、お金を含めたさまざまな資産のバランスを組み立てていくことが、プランニングの目的です。

貯金にこだわっていた私の失敗

私自身、「お金を増やす」に目を向けるあまり、失敗してしまった経験がいくつもあります。

高校1年生のとき。当時一人暮らしだった私は、食費を節約してお金を貯めることが楽しみでした。貯金の残高が多いことばかり良いと思っていて、栄養バランスなんて考えてもいませんでした。冬の献立は、安いからといつも大根とキャベツがメイン。

ある朝、全身が痛くてベッドから起き上がれなくなりました。

バイト先に休みの連絡を入れ、友人に抱えられて病院に行きました。何本も点滴と注射を受け、3日ほど通院。診断は過労と栄養失調でした。

食費をケチり、健康に投資しなかった分は、医療費という出費や、時間のロスになって返ってきました。ただただ痛みに耐える数日間だったし、点滴代は1カ月の食費よりも高くつきました。

尽きると、取り返しのつかない資産もある

お金は、身体が回復してアルバイトに出られるようになってから、また稼げばよかったかもしれません。でも、健康は…。もし一歩間違っていたら、取り返しのつかないことになっていたでしょう。

自由な時間を持つことも、健康管理をすることも、自分の資産の“運用”と言えます。たくさん稼ごうと仕事に心血を注いだ結果、健康を害して倒れてしまう…というのは、元も子もありませんよね。

ライフプランニングの本質は、お金や時間、限りある資産を、自分の人生の中で上手に配分することにあります。

地球の資源も「使う」を抜きには語れない

ライフプランニングのゴールが「金融資産を増やすこと」ではなく「バランスよく資産を使うこと」の先にあるように、私は、持続可能な開発目標“SDGs”のゴールも「資源を使う」のその先にあると思っています。

石油資源を例にとって考えてみます。私たちの生活を支えるインフラのひとつに、自動車があります。街行く車を見てみると、沢山の車がガソリンで走っています。

経済成長の過程で自動車が普及したことで、私たちの生活は便利で豊かに、そして安心して暮らせるようになりました。人命を救う救急車だって、ほとんどがガソリン車です。

バランスを欠いた使い方が問題

新興国の様子はどうでしょうか。

現在、アフリカのマダガスカルでは、何年も続いた干ばつによって、100万人を超える人が食糧難に陥っています。極端な気候変動の背景には、地球温暖化があると考えられています。先述したガソリン車も、CO2を排出して走っていますから、温暖化・気候変動に影響を及ぼしているひとつです。

先進国はこれまで豊かさや安全のために、いろいろな資源を使ってきました。

経済が成長してきたおかげで、救われた命もたくさんあります。これまでのやり方が100%間違いだったわけではないと私は思います。

でも、資源の使い方とバランスを誤ったために、取り返しのつかない方向に進みつつあることは事実です。

まとめ

ライフプランニングの本質から得られる気づきは、他のあらゆる問題に応用可能です。

気候変動や、貧困、教育格差…持続可能な社会のためには、「さまざまな資源・資産」がバランスよくいきわたることに、解決の糸口があるのではないでしょうか。その資源とは、水資源、森林のような天然資源のほか、技術やヒトの力、もちろんお金も含まれます。

“誰一人取り残さない”ために、身の回りの資源をどう使っていくのか。資源を枯渇させないように、どう運用して、守っていくのか。

これまでの連載を通して、想像力や広い視野など、 “考える”ことについて繰り返しお伝えしてきました。「正解はコレ!」という、わかりやすい答えで締めくくることはできません。

それぞれの立場で考え抜くこと、行動し続けていくことから、“持続可能な社会”を皆で作っていきましょう。

この記事を書いた人

平岡 瑞希(ひらおか・みずき)

社会保険労務士法人はなみずき(愛媛県松山市)代表。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。 中小企業の年金・退職金コンサルティングが専門分野。金融教育の普及啓発に力を入れ、企業の労務顧問、従業員へのライフプラン研修を行う。2児の母。趣味は読書とパラグライダー。「おかねとの楽しい付き合い方」を広めるべく活動中。 https://hanamizuki.or.jp/