サステナブルな想いと情報を未来へ~ECCCAの環境ウェブマガジン~

COLUMN&INTERVIEW

私たちが海の未来を守りましょう

皆さんは海洋ゴミの現状について興味を持ったことはありますか?海なんてなかなか行く機会のない場所だから、と自分と切り離して考えてしまっていませんか?

大学入学後、私はヨット部に入部し、毎週のように海で活動することで海の汚さを初めて知りました。

海面にはレジ袋や漁業で使われたらしき網を容易に見つけることができますし、何より海岸に打ち上げられているゴミの量がとんでもなく多いです。

このことがきっかけで、私は海洋ゴミや海洋ゴミが海の生物にどのような影響を与えているのか興味を持ち、環境問題の中でも特に海についての活動に学生推進員として積極的に参加するようになりました。

勉強をしたりイベントへ参加したりするうちに、自分に関係ないものと思っていた海洋ゴミが、自分の普段の生活の小さなアクションによって生まれていて、逆に言えば、小さなアクションが海を守ることにつながると知ることができました。

もしヨット部に入っていなかったら、海洋ゴミについて今と同じように考えたり行動したりしていなかったかもしれません。

私が部活をきっかけに興味を抱いたように、このコラムを読んでくれた方が、海洋ゴミや環境問題について少しでも考えたり行動したりするきっかけになればと思います。そして、この問題が「海とか行かないから。魚そんなに食べないし。私には関係ないから。」では済まないものであることを理解していただけたら嬉しいです。

今回のコラムは、海洋ゴミの実情について、私自身の活動を絡めながらお伝えしていこうと思います。

海洋ゴミとは、何が問題?

海洋ゴミとは「海岸に打ち上げられた漂着ゴミ、海原を漂う漂流ゴミ、海底に沈んだ海底ゴミの総称」のことを表します。そして、海洋ゴミの約8割は、私たち人間の暮らしている街で発生したゴミであるとも言われ、約7割がプラスチックです。
(参考)https://uminohi.jp/kaiyougomi/

プラスチックは簡単に加工ができるため、あらゆる場面で利用されています。思い返してみると、私自身これまでプラスチック製品を1つも使うことなく丸一日過ごしたことはありません。

プラスチックはそれほど生活に深く密着しておりプラスチックの使用や廃棄に関して無意識になっています。普段たくさんの場面で利用するため問題視しづらいし、つい無頓着になってしまいがちです。しかし、私たちが手放すことのできない存在だからこそたくさんの人が行動を変えていかなければなりません。

また、海洋ゴミが増えてしまうことで海に生きる生物に多大な影響を与えることも深刻な問題です。環境省の調べによると、世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックゴミが海へと流出していて、2050年には海は魚よりプラスチックゴミの量の方が多くなってしまうと予測されています。
(参考)https://uminohi.jp/kaiyougomi/

魚よりもプラスチックゴミが多くなるなんて想像がつきますか?

でも、この未来がもうすぐそこに来ていることは明らかです。つまり、今当たり前にしている生活を変えていく必要があるのではないかと思います。私たちが海の美しさを守るために、海に生きる生物の健康のために変わらなければならないことは明らかです。

学生推進員としての活動~海ゴミアートを通しての教育活動~

実際、私が毎週活動している伊予市の森海岸では拾いきれないくらいたくさんのゴミが打ち上げられています。

その現状を夏休みに行われているNPO法人ワークライフ・コラボ主催の休日子どもカレッジ(場所:松山大学)に参加している小学生に伝えたいと思い、2022年8月26日(金)に「海ごみアート」という講座を実施しました。

海洋ゴミの概要についてクイズを交えて説明した後、事前に集めておいた海洋ゴミを使ってアート作品を作ってもらいました。小学生の柔軟な発想からたくさんの作品が生まれて面白かったし、楽しそうに作ってくれて嬉しかったです。

「危ない・海を汚す」というイメージのあるゴミをアート作品に昇華することは、海洋ゴミを減少させる直接的な方法にはなり得ないし、この活動はきれいごとかもしれませんが、私は「ゴミでみんなとアートづくり楽しかったなあ」と小学生の記憶にほんの少しでも残り、このことがきっかけで、毎日の行動を一つでも変えられたなら、この活動に意味があったと言えるのではないかと思います。

学生推進員としての活動~株式会社LIXILとの海岸清掃~

2022年11月19日(土)に、海ごみゼロウィークの活動として株式会社LIXILが伊予市の五色姫海浜公園にて開催した清掃活動に参加しました。

海ごみゼロウィークとは日本財団法人と環境省による全国規模の清掃活動で、一人ひとりの小さな行動で海の未来を変えることをコンセプトとし推進されています。
(参考) https://uminohi.jp/umigomi/zeroweek/

私は普段部活を行っている場所と近かったこともあり、参加しました。

私の普段活動を行う海岸は、観光用ではなく、釣り人や、私たちが部活をする程度のため、人の手がほとんど加えられていません。そのため海岸はその日の潮の満ち引きによって様々ですが多くのゴミが打ち上げられたまま放置されています。

一方、五色姫海浜公園は観光用に人口砂を入れられて整備されているためか、管理が行き届いていてほとんどゴミがなくきれいな状態でした。しかし、そこから少しだけ離れた隣の海岸(人口砂ではない海岸ですが徒歩で行ける距離)に行ってみるとたくさんのゴミが見つけることができ、最初はあまりゴミがないと思っていましたが、気づけば参加者一人あたり一袋ほどの量のゴミが集まりました。

この清掃活動は主に株式会社LIXILの社員さんとそのご家族が中心で行われ、私を含め学生推進員3名がコラボという形で参加させていただきました。
(当日の様子はこちら)

自分たちで活動を立ち上げて参加を募り、実行に移すことも大切な行動の一つですが、今回のような企業のCSR活動や地域の活動を知って自発的に参加してみたり、私たち大学生に参加を募るようなシステムがあったりすると、企業や地域と大学生の双方にメリットがあると思います。

企業や地域活動を私たち大学生にPRするきっかけになるかもしれません。また、大学生にとっては、なかなか関わることのない企業や地域の人たちとのつながりを持てることや、普段授業を受けるだけでは限界のある「実践」を行えることは大きなメリットです。

さいごに

以上、私が学生推進員として参加した活動の中で特に「海」に関連した活動を紹介させていただき、大学生の私から見た社会や環境問題の現状について、私なりに気づきや感想を交えながら書きました。

それは違うよ、その考え方は賛同できない、と思う部分もあるかと思いますが、共感できたところやなるほどと思った部分だけでも心にとどめておいて頂けると嬉しいです。

また、一つひとつの活動を一過性のものにしてしまってはもったいないです。例えば株式会社LIXILの清掃活動は一年に一回開催されていると聞きました。年に一度愛媛県内で12の企業・団体が月ごとに一回、五色姫海浜公園で清掃活動を行えば月1の活動になります。その活動に参加したり、周りに呼びかけたりして輪をひろげていけると考えたら、小さな活動が実は壮大で、自分たちにとって意味のあるものに思えてきませんか?私は、清掃活動に参加した後にそのように考えていました。

海洋ゴミの量が減ればそれで海洋ゴミの問題は解決なのでしょうか。私は必ずしもそうではないと思います。そう思ったため海ゴミアートの活動も行いました。海ゴミでアートをしたって海洋ゴミが減少するわけではないからです。海にあるレジ袋や文房具、傘、ペットボトルは私たちの暮らしに欠かせないもので、必要とされていたものかもしれません。そのことを理解するためのアート体験は有効だと思います。

私は、海にかかわるスポーツをする身として、海岸清掃をする、ゴミの分別を心がけるといった、より一層海に優しい行動を心がけていきます。海がこれから先、生き物にとって住みよい環境であり続けられるように、いつまでも海の食べ物をおいしく食べられるようにと願うからです。

私と一緒に、皆さんも考えて行動していきましょう。そして、私たちの行動で、海と自分自身の未来を守りましょう!
(学生推進員 鈴木陽菜)

この記事を書いた人

愛媛県学生地球温暖化防止活動推進員

愛媛県地球温暖化防止活動推進センターより委嘱を受けて活動しています。

バナー:地球は今どうなっているの?