フードロスと子ども食堂を繋げる活動
はじめまして。愛媛県地球温暖化防止活動推進員の秋山です。
今回お伝えしたい内容は貧困をなくす事とフードロスをなくす事をつなげる取り組みについてです。
誰一人取り残さない未来の為に出来る事のひとつとして取り組まれている「フードバンク」や「子ども食堂」についてご紹介します。
貧困のイメージ
世界を見渡すと、飢餓や飢えにより健康的な生活を送れない環境下にある子どもや、命の危険にさらされている子どもがいる現状を見聞きしたことがあると思います。
飽食の時代といわれている現代の日本でそんな子供の貧困や飢えが本当に存在するのか?と疑いの目で見られてしまいそうですが、現在、7人に1人(※1)の子どもが貧困の状態にあると言われています。
※1:2019年国民生活基礎調査(厚生労働省)
これは極端な地域差が無く、私たちの住む愛媛県でも例外ではないのです。
貧困の状態について、どのような認識を持つでしょうか?
数十年前のエチオピアやケニアといった国のイメージをお持ちであればそれは貧困ではなく飢餓の状態で、日本の子どもの貧困は非常に見えづらいのが現状です。
親が死別や病気にかかった事により収入が途絶えたり、育児が困難になったり、親の離別により収入が減ったり長時間の就業環境により育児時間が減ったりする事で、食事の質や生活の質が低下していきます。これは我々にも起こりうる資本主義社会の中での相対的貧困になります。
出生率の低下により高齢化社会を迎え、子どもの貧困問題は、わが子が貧困でなければ大丈夫という考えが通用しない世の中になりました。
今後は年齢別人口散布のバランスが崩れ、現在の子どもがこれからの日本を支える上でどれほど重要かが数字上でもわかります。
7人に1人という人数を看過することは国の大きな損失になるのです。
食品ロスの現状
一方、フードロスとはその名の通り、まだ食べられる食事や食材が捨てられる事ですが日本で1年間に600万トン(※2)のフードロスが発生していると言われています。
※2:平成30年度推計(農林水産省・環境省)
そのうち約半分が家庭から、残り半分が飲食店や小売店の期限切れによって発生しています。
スーパーなどの小売店ではまだ食べられるけれど美味しさが損なわれ始めている賞味期限が切れた食材が廃棄されています。
また農作物を作る農家では、市場に出荷するのが難しい大きすぎたり小さすぎたりする規格外の農作物や、虫食いや傷があるものは食べられるけれども出荷出来ない為、廃棄しています。
この農作物についてはフードロスの600万トンに含まれていません。
フードロスとフードバンク
かたや貧困により食べるものが足りていない家庭があれば、社会では食べられるものが捨てられている不条理さに対して繋ぐことが出来ないかと考えて、消費者と企業が少しずつ変わり始めています。
フードバンクとよばれる、まだ食べられる管理基準切れ(賞味期限は切れていないが小売店では販売出来ない基準)の商品や、戴き物でもらったけれども食べきれない日持ちする食材などを保管する機関があります。
ここに集まった食材を必要な所に届ける仕組みがフードバンクの役割です。
県内でもフードバンクえひめやフードバンク笑顔などフードバンクが増えてきました。
フードバンクの趣旨に賛同する企業も増え、備蓄している防災食を企業が買い替えるタイミングでフードバンクに提供したりするところも増えています。
子ども食堂の取り組み
(コロナ禍で外にテントを立ててお弁当配布する子ども食堂)
子ども食堂は日本の7人に1人が貧困の状態にあるといわれているお子さんに美味しいご飯を食べてもらおうといった趣旨で全国に広がり、2021年現在登録確認されている子ども食堂は4237件あります。愛媛県下では64件と地域の子どもの胃袋を支えています。(※3)
※3:むすびえ・子ども食堂マップ参照
子ども食堂の運営方法は子ども食堂を運営する団体によって様々で、月1回程度のお昼ご飯の提供をしている子ども食堂から回数が多い子ども食堂もあります。
子ども食堂は貧困家庭にある子供さんに食事を提供するのではなく、どんな境遇のお子さんでも食べに来られるので、支援を必要としている子供さんが来やすくなっています。
その他、学習支援、フードパントリー食材の提供、お弁当配布などニーズに合わせて多様化してきました。
新型コロナウィルス感染拡大によって開催を延期している事業所もありますが、食堂形式からお弁当配布に形態を変えて運営を継続している子ども食堂も増えてきました。
愛媛県内、新居浜市内の取り組み
私が住む地域の新居浜市で新居浜市内を中心に子ども食堂が繋がり、情報を共有してボランティアスタッフを連携できるネットワーク“新居浜子供食堂ネットワーク”があります。
私はその事務局として地元の農家の方から野菜や果物を提供していただいたり、規格外や傷がある事で収穫を放棄した農作物を直接伺って収穫させていただいたりといった取り組みを継続してきました。
(西条市戸田果樹園で収穫兼提供いただいたぶどうの摘果作業)
新居浜市の上部地区在住の生産者の方は子ども食堂用に野菜を栽培してくれて収穫だけをネットワークのスタッフが行っています。
その野菜の収穫を子供向けにもイベントとして実施し、サツマイモ掘りイベントは親子30名を超える方に参加いただき、参加費はドネーション制(寄付)にしたところ20000円を超える寄付金が集まりました。
今では新居浜市内だけでなくお隣の西条市の農家の方からも声をかけてもらって収穫に伺っています。
協力していただける農家の方が増える事でフードロスが減り、お届けできる子ども食堂も増えます。
(さつまいも掘り体験後にいただいたドネーション(寄付金))
農作物は収穫後、長期間保存がきかない物が多いため、地域の子ども食堂で活用しきれない時は地元の福祉施設や、ワーカーズコープの物流を利用させていただいて他県の子ども食堂へ送る事もあります。
最近の取り組みとしては新居浜中村松木子ども食堂の共同代表の方が中心となり、新居浜子供食堂ネットワークでの会合で、食料の支援では足りない貧困家庭への無利子での経済的な援助が出来る仕組みについても立ち上げようとしています。
この基金は緊急で必要な方がいらっしゃった為、急きょ立ち上げる事になりました。
現在は企業や有志の方の寄付金を集めていますが、電力会社の切り替えやグッズ販売の収益などを活用して、より効率的な資金集めを行い安定した基金運営を目指しています。
(新居浜市上原町の竹林で竹の子の収穫とドラム缶鍋でアク抜き後子ども食堂へ配達)
フードロスと子ども食堂を繋げる取り組みは、SDGsの考え方の中で持続可能な社会づくりに必要とされているのかを問い続けながら活動を続けていきます。