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COLUMN&INTERVIEW

持続可能な社会とは?? ~四国の学生推進員と考えた2030年未来予想図~

みなさんは、【持続可能な社会】と聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか?何か聞いたことあるような言葉だなと思われる方や、もうすでに何度も聞いていて、知っている方もいらっしゃると思います。

2015年には国連でSDGsが採択され、世界全体で【持続可能な社会】に向けた目標や行動指針が発表されました。しかし、実際には何をしたらいいのか、どのような社会が持続可能な社会なのかと考えたことは少ないのではないのでしょうか。

今回、四国の学生推進員が1年に1回集まって学び合う「四国エコサミット」に参加し、持続可能な村おこしをしている高知県の馬路村の事例の紹介や、2030年未来予想図を作るワークショップから持続可能な社会について考えました。

無名の馬路村をブランド化させる!?

馬路村と聞くと、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。私は家で使っている「ゆずポン酢」のイメージがあります。

馬路村は高知県東部に位置し、人口823人、森林率96%の村です。かつては、林業で栄えていましたが、林業の衰退と共に、平成11年に営林署が廃止になり村自体の存続が難しい状況に追い込まれていました。

また、昭和の中頃から始まったゆず栽培は、昭和の終わりごろには、加工用の商品の販売を県外にも売り込んでいました。しかし、その当時はゆずが有名ではなかったため、売り上げがなかなか出なかったそうです。

そこで、「馬路村 自立の村づくり宣言」をして、馬路村自体のブランド化を地域にある資源で行いう動きが出てきました。この宣言以降、どんなに小さな村でも輝き、一度は行ってみたいと思っていただく村を目指していきました。

具体的には、交流人口を拡大させるために、馬路村に来て特産品を購入するだけでなく、共に地域づくりを行っていただける特別村民を募集し、現在は1万人以上になっているとのことです。

村の中心産業であったゆずと林業については、ゆずの生産・加工・販売まですべて行う6次産業化に変更。行政との連携から、廃棄されていたゆずの種から化粧品の開発などを行い、大ヒットしました。林業に関しては、住宅や土木資料、間伐材の利用のほか、ハイキングやキャンプ、曲げわっぱ体験などを行い、森の魅力を肌で感じることができるように、行政や各組合との連携から、森の循環を目指した振興策を行っています。

このほかにも最近では、次のようなことを行っています。

  1. ふるさとワーキングホリデー: ゆずの収穫時期に県外の人に有償で滞在してもらいゆず収穫に従事してもらう
  2. 馬路村若者座談会を設置: 若年層と地元住民の風通し向上させる取り組み
  3. 起業者支援: 奨励金や地域おこし協力隊制度の活用

これらから従来の村おこしの、移住希望者の壁となる職業の充実に加えて、定住化支援を行い、持続可能な村おこしを実現し始めています。

ワークショップ「2030年未来予想図」づくり

サミットの中では、「2030年、私たちの街が○○だったらいいね」ということを考える2030年未来予想図づくりワークショップも行いました。

四国の学生推進員19名が4グループに分かれて、

  1. 理想とする2030年の街の強み・弱み
  2. その街にあったらいいなと思うもの
  3. その街をつくるために私達にできること
  4. 2100年の人たちから見た私たちの理想とする2030年の街はどのように見えるのか?理想とする街に付け加えたいものは何か?

という視点で、レゴブロックやJamboardを使ってそれぞれ自分の思いを考え、表現してグループメンバーに共有しました。

チームによって、理想とする街のゴミ問題や食料といった環境面に関する持続可能性や、個性やジェンダー、生活様式のような社会性での持続可能性を考えていることが分かります。また、理想とする街のために今日からでもできることがあることにワークショップをしているときに気づきました。2030年、その先の2100年のために少しでも行動することが必要になってきますね。

幸せの矢印と常識

この四国エコサミットのなかで心に残っていることが2つあります。

①幸せの矢印がどこに向いているか

世界一幸せな国として有名なブータンの人たちは、「周りの人が幸せなら自分も幸せ」と考えているそうです。昨今、新型コロナウイルスの猛威から将来への不安が募り、周りの人より自分の幸せを優先することが多くなっているように感じます。今後、自分中心の考えになっていないか再度自分自身を客観視して、周りに幸せの矢印が向かせていきたいです。

②常識は変化する

【石器時代が終わったのは石がなくなったからではない】

これは、サウジアラビアの元石油相の言葉です。青銅や鉄というように、代わりになるツールを人間が発見し開発することで一つの時代が終わってきた歴史があります。

今地球上に存在している、石油や石炭もそれのひとつではないかと思いました。私たちの周りには、他にも余ってはいるけどやめた方がいいものはたくさんあるのではないのでしょうか。今一度考えてみることが必要なのかもしれません。

“私の考える” 持続可能な社会とは??

今回のワークショップは、2030年という未来のことを考えていったため、私だけではイメージするのが難しかったですが、各県の学生推進員の方々とディスカッションをすることで私の中にはなかった考え方、必要となるものを学ぶことができ、少しイメージすることができました。私自身としては、2030年は、マスクをしないで出歩くことができ、高齢者、若者、海外の人との間に隔たり・偏見が少ない街になったらいいなと思っています。

そのためにも、今からでもできる行動や選択を少しずつ行っていくことがより良い2030年、そして2100年を作っていくと信じています。

皆さんが理想とする2030年、そして2100年に向けて今日からできることを私たちと一緒に始めていきましょう。
(学生推進員 平井聡一郎)

この記事を書いた人

ECCCA

愛媛県地球温暖化防止活動推進センター 愛媛県における温暖化防止活動をサポートし、実践活動、情報提供やコーディネートを行っています。

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