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COLUMN&INTERVIEW

~暮らしも地球も気持ちいい ナチュラルクリーニング~ 

みなさんは日々身の回りで使う洗剤を、どんな基準で選んでいますか?

ほとんどの方はキッチン用、お風呂用、トイレ用・・・といった場所ごとや、粉末、液体、シートタイプなど使い勝手に合わせて、そしてなるべく安いものを、と選んでいるのではないでしょうか。

掃除、洗濯、食器洗い、入浴、など毎日たくさんの洗剤を「排水」として流している私たち。できるところから少しだけ、環境に負荷をかけない「ナチュラルクリーニング」を意識してみませんか。

ナチュラルクリーニングとは、自然界にある物質や食品などでお掃除をする方法のこと、または洗剤も使わないで洗う方法のことです。慣れるまでは少しコツが必要ですが、環境に優しく、しかも手肌にも比較的優しいのがいい所。使う洗剤の種類も少なくなるので、シンプルで、経済的です。

私は子どもが生まれた時に、石けんをプレゼントで頂いて使い始めたことがきっかけで、環境と洗剤の関係がなんとなく気になり始め、時々浮気をしながらも、自分流に掃除や洗濯でナチュラルクリーニングを続けてきました。元々お掃除が苦手なので簡単でなければここまで続かなかったと思います。

今回は、私が4年前から開いている、アロマ・ナチュラルクリーニングの講座から、ナチュラルクリーニングの始め方をご紹介します。

~汚れのタイプ別に洗剤を選ぼう~

汚れは大きく「酸性汚れ」か「アルカリ性汚れ」に分けられます。どちらの性質の汚れも、「中性」になれば、するっときれいになります。

だから「酸性汚れ」は「アルカリ性の洗剤」で、「アルカリ性の汚れ」は「酸性の洗剤」を使えばいいのです。ちりやほこりなど、どちらでもない汚れは洗剤を使う必要はなく、払ったり、水拭きをしたりするだけできれいになります。


木曾路物産(株)HP参照

では、汚れの性質をどうやって見極めればいいのでしょうか。

実は家庭内の汚れの8割は「酸性汚れ」と言われています。手あか、皮脂、食べこぼしや料理の油汚れなどはどれも「酸化した汚れ」です。テーブルの上や、床の上のべたべたも、酸性汚れです。

この場合、アルカリ性の「重曹」や「石けん」などを使います。

一方「アルカリ性汚れ」は意外と少なく、水道水のカルキなどの水あかや石けんかす、トイレの尿汚れなどです。アルカリ性の汚れの場合には、酸性の「クエン酸」を使います。

だから、何を選べばいいか迷った時は「トイレ掃除」と「水あか」はクエン酸。それ以外はまず重曹や石けんを使ってみよう、位に考えておくと簡単です。

~そろえておきたい3つのナチュラル洗剤~

ナチュラルクリーニングの基本になるのは、重曹、石けん、クエン酸。この3つの特徴は自然由来の成分で環境への負担が軽く、お肌にも比較的優しいことです。

〇重曹

炭酸水素ナトリウムのことです。お菓子のふくらし粉や野菜のあく抜きなどで料理に使われています。海水や鉱物などに含まれ、もともと自然界に存在している成分です。

お掃除では1%の重曹水をスプレーしてコンロ周りや冷蔵庫、窓などの拭き掃除に使え、粉末のままぱらぱらとシンクや茶渋がついたコップに振りかければ、天然のクレンザーになります。

〇石けん

石けんは天然油脂とアルカリでできています。歴史は古く、およそ紀元前3000年前から使われています。ちょっとした食べこぼしや襟袖などの部分洗いでは特に汚れ落ちが良く、食器洗いに石けんを使うと手荒れが改善したという話は私の周りでも多いです。上手に使うには、よく泡立てて洗うのがポイントです。

私がおススメしたいのは宇和島市の「八坂石鹸」さんです。昭和24年から宇和島市で昔ながらの釜だき製法の石けんづくりをされていて、家庭やレストランなどから回収した使用済みの油でも石けんを作っています。

こちらの台所用固形石けんは、液体に比べてとても長持ちするので経済的。

洗剤の原料にもなるパーム油を採るために熱帯雨林が伐採されているという側面から見ても、使用済みの油が石けんになり、暮らしの洗剤として地域で回していくのはとてもサスティナブルだと思います。


八坂石鹸

〇クエン酸

クエン酸も重曹と同じ食品添加物です。梅干しや柑橘に含まれる「酸っぱい」のもとがこのクエン酸です。こちらも1%濃度でスプレーにしておくと、トイレ掃除に便利ですし、水回りについたカルキ汚れはキッチンペーパーでパックのようにしてしばらく置くと、きれいになります。

仕上げに軽く水拭きをしておきましょう。

この他にも、除菌や漂白に適した酸素系漂白剤や、重曹よりもアルカリ度が高く汚れ落ちのよい(ただし、素手で使用した場合お肌への負担は増えます)セスキ炭酸ソーダなどもありますが、まずは気軽に始められるこの3つから試してみてください。

香りを加えたい時にはハッカ油やオレンジの精油など、お好きな香りのアロマを数滴加えてみてもいいでしょう。作り方は本やインターネットにあるアロマスプレーの作り方を参考にしてください。また、素材を傷めないように目立たないところで試してから使ってください。

~本当に大切なことは「考えること」~

石けんと合成洗剤を比較したときに、「石けんの方が生分解性(※)が良く、環境にいい」という考え方がありますが、現在では環境への負担を減らした合成洗剤も開発されるようになってきました。また一般的に石けんは合成洗剤よりも使用量が多くなりがちです。

いくら生分解性が早いといっても使う総量が多いと、結局はきれいな水に戻るまでに時間がかかってしまいます。
※生分解性:微生物などの生物の作用によって、最終的に水や二酸化炭素などの無機物にまで分解されること。

普段の私たちは「汚れたから洗う」ではなく「使ったから洗う」だったり、必要のないものまで無意識に洗剤を使って洗ったりしているのではないでしょうか。

例えば砂糖や小麦粉をすくったスプーン、水を計っただけの計量カップなどに洗剤はいりません。

その他の汚れも、お湯を使ったり、へちまの繊維でできた昔ながらのへちまたわしなど使ったりするだけで、案外きれいになるものです。

洗う前にちょっとだけ「これって洗剤は必要?」と考えてみることは、今すぐにでも始められます。

また一般的に、環境に優しい合成洗剤は売られているお店が限られていたり、価格が高いものが多かったりするのですが、今回ご紹介した洗剤は100円ショップやスーパーで手に入るので、気軽に始めることができます。

ナチュラルクリーニングを意識し始めると、家の中の洗剤類がすっきり、汚れはさっぱり、結果的には経済的な上、地球にも優しい暮らし方ができているな、と思えて、何でもないいつもの暮らしの質が上がり、楽しくなります。

長続きのコツは、いきなり全てを変えようとせず、できることから楽しめる範囲で始めてみることです。

そして周りの人と、ナチュラルクリーニングが気になる、やってみた、うまくできた、できなかったなどぜひ気軽に話してみてください。

この記事を書いた人

児玉 三由(こだま・みゆき)

Act Kie(アクトキエ)代表。アロマ空間プロデューサー。講師。アロマセラピスト。 家族の健康管理に20年以上アロマテラピーを利用してきた経験をいかし、2015年に起業。間伐材を利用した日本産、特に愛媛産の森林のアロマの普及に力を入れている。愛媛産の森と柑橘精油を使ったフレグランスアロマ「Kie(キエ)」開発。香りを通して自然と繋がり、人も地球も健やかになる暮らし方を提案中。 (公社)日本アロマ環境協会資格認定スクール運営。 https://act-kie.com/ https://www.instagram.com/miyuki.actkie_aroma/

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