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COLUMN&INTERVIEW

SDGs連載【番外編】体験からSDGsを学ぶ「子どもたちの第2のふるさとづくりモニターツアー」in松山・中島/ANAグループ×松山市

持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標「SDGs(エスディージーズ)」。今回は、このSDGsに関する取り組みをご紹介する連載の【番外編】。

2021年11月に松山市で開催された「子どもたちの第2のふるさとづくりモニターツアー」についてご紹介します。

子どもたちに「体験」としてSDGsを学んでもらうことや、関係人口を増やすきっかけづくりのために企画されたこのツアー。その目的や、プログラム内容、参加した子どもたちの反応、そして今後の展開まで、企画された松山市総合政策部の高岡さん、田内さん、そしてANA X株式会社の野島さんに詳しくお話をお聞きしました。

プロフィール紹介

松山市 総合政策部
副部長 地方創生戦略推進官
高岡 伸夫さん

副主幹
田内 長宏さん

ANA X株式会社(ツアー企画時はANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボ所属)
野島 祐樹さん

船上から島を眺める子どもたち

「第1回SDGs提案グランプリ」受賞のツアーを実現 関係人口の増加を目指す

–今回のツアーが実現した経緯を教えてください。

高岡伸夫さん(以下、高岡):まず、松山市は2020年の7月に内閣府より「2020年度SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選ばれました。それに関連して、中島では太陽光発電を軸として、中島の魅力発信や観光誘致までを好循環させる「スマートアイランド構想」が進んでいます。

そんなとき、SDGsオンラインフェスタ「第1回SDGs提案グランプリ」で、ANAホールディングスが「SDGsに関連した目的や価値を持つ関係人口を増やすような団体旅行」を重点テーマとして募集していることを知りました。持続可能な地域として県外から若い方に訪れてもらい、中島の豊かな自然を感じてもらえるようなツアーを実現したいと思い、挑戦。結果、ビヨンドグランプリを受賞しました。

そして、コロナ禍での数回の延期を経て、2021年11月6日(土)・7日(日)、「子どもたちの第2のふるさとづくりモニターツアー」として実現しました。

松山市 高岡伸夫さん

–今回のツアーの目的を教えてください。

田内長宏さん(以下、田内):体験として、SDGsを学んで欲しいと思って企画しました。例えば、関東の都市部は経済面では豊かではあるけれども、SDGsの観点でいうと実は、松山の方が豊かなのかもしれませんよね。今後、持続可能な社会を作っていかなくてはいけないけれど、現状のままでは子どもたちが大きくなったときに、地球がもたなくなっている。島で、美味しいもの、森の美しさ、空気のおいしさ、それらを肌で感じてもらい、どうすればこの豊かな自然を守っていけるのか、自分たちの生活をどう変えていけばいいのかを、考えるきっかけになれば良いと思いました。

そして、中島や松山の魅力を感じてもらい、また訪れたり、関わったりしてほしいなと考えました。そうして関係人口が増えることで、経済も回り始めます。人口が減ったとしてもお客様が増えることで、地元の人の足となるバスやフェリーの航路も維持される。やはり地方自治体は、人に来ていただくことがすごく大事です。

野島祐樹さん(ANA X株式会社):やはり、関係人口の増加ですね。私は訪れることで初めて「関係人口」になると思っていて。現地に降り立って、地域の課題を知ることが、その入口になります。将来、子どもたちが松山での体験を思い出し「家族旅行で松山に行こう」とか「ふるさと納税で松山を応援しよう」など、それぞれのスタイルで松山に関わってくれればと思います。

【関連】
「SDGs未来都市」とは?/SDGs JOURNAL
第1回SDGs提案グランプリ/SDGsオンラインフェスタ

海岸清掃や釣り、古民家再生 「体験」からSDGsを知るプログラム

–実際のツアーは、どのようなプログラムだったのでしょうか?

高岡:1日目は、中島を体験してもらうツアーです。今回は、関東から、コロナ禍で修学旅行に行けなかった子など、11〜13歳の13名の子どもたちが参加しました。

中島に到着してからは海岸清掃を行いました。ゴミの素材ごとに担当分けし、ビニール袋とトングを持って海岸を歩きました。最初は、旅行にきてまでゴミ拾いか…というような表情の子もいましたが、だんだんと皆真剣にゴミを拾ってくれるようになりました。

多くのゴミを集めた後は、きれいになった海岸で釣り体験です。地元の人に教えてもらいながら、活きた餌をつけ、竿を振りました。中には、非常にレアな「ハギ」を釣った子もおり、捌いてBBQで食べました。

その後も、自然エネルギーを利用したグリーンスローモビリティ(最高時速20km/h未満の公道を走ることができる小型電気自動車)やE-Bike(電気自転車)に乗って900年の歴史のあるお寺を訪ねたり、海の幸、山の幸を楽しむBBQをしたりと中島を満喫してもらいました。

釣り体験でハギを釣った男の子

田内:2日目は、松山市の三津浜地区と道後地区を散策しました。三津浜は、歴史ある近代的建築物などが立ち並ぶエリアで、最近ではこれらをリノベーションしてまちの活性化に繋げようとするプロジェクトも進められています。子供たちも、街並みを見ながら写真を撮ったりと興味深そうでした。地元の方との交流もありましたね。また、三津浜の方々の日常の「足」にもなっている市営の渡船「三津の渡し」にも乗船しました。海の無いエリアに住んでいる子も多く、穏やかな海を眺める姿が印象的でしたね。

そして、松山を代表する観光地の1つである道後地域では、今しか見ることができない保存修理工事期間中の道後温泉本館を見たり、道後温泉の源泉に触れたり、歴史を学んだりして終了しました。

古民家を再生した建物を巡る

「松山にまた来たい!」多くの子どもたちが五感で松山を楽しんだ

–2日間を終えてみて、子どもたちの反応はいかがでしたか?

高岡:SDGsを学ぶことを目的に参加した子は、魚釣りを通して「食品ロス」について考えたようで「これからは、ご飯を残さないよう気をつけたい。」と話してくれました。また「私たちが海岸清掃することは、環境問題にとっては少しのことかも知れないけれど、大切なことだと思った。」と話す子もいました。他にも、「日頃から、環境を大切にする取り組みをしたい」「もっとSDGsを意識して生活したい」などのコメントを聞くことができ、子どもたちが体験から気づきを得たことが分かりました。

田内:終了後のアンケートに「松山に、また来たい」と多くの子どもが書いてくれたのも嬉しかったですね。「海や山など、自分が住んでいる場所には無いものがたくさんあった。」「島の海が綺麗だった」「ご飯が新鮮で美味しかった」「空気が美味しかった」など、五感で中島や松山を楽しんでくれた様子。「四国はよく知らなかったけど、行ってみたらその場所の良さが分かると思った」と話してくれた子もいました。本当にその通りで、今回のように体験を通して、その土地の良さを知ることで、「第二のふるさと」として松山を想ってくれればいいなと思います。

島の自然を全身で満喫

–ツアーを、今後どう展開していきたいと考えられていますか?

高岡:今後は、今回の効果を検証し、新たな取り組みとして模索しますが、例えば「企業版ふるさと納税」を活用し、SDGsの視点を取り入れた新たな観光商品が出来上がり、観光誘客に繋がればすばらしいと思います。

この記事を書いた人

三神 早耶(みかみ・さや)

愛媛県松山市在住。大学卒業後、広告代理店の営業や進行管理などを経て、2016年からフリーライターに。ビジネスメディアや、地元経済誌、企業のWebサイト等において、取材や記事の執筆をしています。私生活では2児の母。趣味はキャンプと仕事。

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