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COLUMN&INTERVIEW

生産者の愛情は無敵!―本当のサステナブルなお肉みつけた!―

はじめに

2021年11月13日(土)、愛媛県学生地球温暖化防止活動推進員4名が愛媛県西予市にある「株式会社ゆうぼく」を訪問しました。今回のコラムは、その時の様子を中心に。書いていますが、実はこのコラムの原点は2021年6月に掲載した「牛のメタンガスを減らす作戦」です。2つを読み比べることでさらに興味深い構成になっていますので是非こちらのコラムも読んでみて下さい。

さて、改めまして、こんにちは。今年もクリスマスの時期となりました。クリスマスといえば、クリスマスプレゼント、綺麗なイルミネーション、そして美味しいお料理などを思い浮かべるかもしれません。

まだお料理どうしようと悩んでいる方、いらっしゃいませんか??では、今年はサステナブルなお肉料理にするのはどうでしょう?

今回のコラムは愛媛県から産業の未来を切り開こうと挑戦する企業様の魅力とそこで作られている美味しいお肉について一度でわかる構成となっています、お楽しみください。

この記事でわかること

1.株式会社ゆうぼくの紹介
2.ゆうぼくの魅力を伝えます!
①    自社ブランド発酵熟成肉「はなが牛」
②    ストレスフリーに生きたい!「自社牧場」「自社配合飼料」がカギ
③    1頭の付加価値を高める

1.株式会社ゆうぼくの紹介

株式会社ゆうぼく(以下:ゆうぼく)は、愛媛県西予市宇和町に本社を置く企業です。主な事業は牧場経営、自社ブランドのお肉「はなが牛」「はなが豚」を始めとした製品の精肉、加工、販売です。加えてレストラン経営もされています。


(ゆうぼくの里:株式会社ゆうぼくHPより引用)

ゆうぼくは自社牧場、自社ブレンドの餌で牛を育て、牛肉として販売することで、生産や販売、サービスを通して人々や社会を豊かにすることを目標とされています。

特に「1頭の付加価値を高める」ことを重視しており、その視点は「すべての人に安心しておいしいお肉を食べてもらいたい」「牛たちの命も人間と同じ大切な命だ」という想いが見出したものです。

ゆうぼくでは上述したように幅広い事業を展開されています。さらにゆうぼくの魅力はすべての事業を一つ一つ丁寧に進められていることです。

2.ゆうぼくの魅力をお伝えします!

①    自社ブランド発酵熟成肉「はなが牛」

ゆうぼくでは効率優先の育て方を避け、牛がストレスフリーで過ごすことのできる環境で育てています。これには、友人や家族、大切な人に安心しておいしい肉を食べてほしいという想いが表れています。

そんなゆうぼくの自慢は「はなが牛」です。はなが牛はゆうぼくの自社牧場で自社ブレンドの餌を食べて育てられています。


(品質管理を行う倉庫)

また、「ドライエイジング」という熟成方法で独自の商品開発にも取り組まれています。ドライエイジングとは、無害の白カビの力でタンパク質を分解させ、うま味を変えていく熟成方法です。外敵からお肉を守るため、外側を乾燥させつつ内側は柔らかく濃厚な味わいを残すこだわりの発酵熟成肉です。

すべての人に多様なお肉を安心して食べてもらいたいという熱意が形となった自慢のお肉です。

②    ストレスフリーに生きたい!「自社牧場」「自社配合飼料」がカギ

「牛たちの命も私たち人間と同じ大切な命なんです」岡崎晋也様(代表取締役)

その言葉には熱い想いが込められています。そう、牛たちも私たちと同じ生きものです。どうにかして牛たちにとってストレスフリーな牧場にならないかと考え、ゆうぼくでは以下のような取り組みに力を入れています。

まず、ゆうぼくでは抗生物質を用いない自家配合の飼料を用いて牛を育てています。その理由はお肉としての安全性を高めるため、地域に貢献するためです。

抗生物質(モネンシン)は牛にとっては消化を促進するというメリットがありますが、代謝物として肝臓に残留してしまうと言われています。お肉になったときに食品の安全性を高めるため、抗生物質フリーの飼料を与えるようにしています。

さらに、地元西予市の農家さんで処分に困っている米ぬかを買い取り、米糠を混ぜ合わせた飼料を用いることにしたそうです。地域産の飼料は下記のとおりです。

 

飼料に含まれる原料と分類
原料 分類(粗飼料 or 濃厚飼料)
飼料米 濃厚飼料(濃厚飼料の10%~20%程度)
稲ワラ、発酵飼料稲、麦わら 粗飼料(肥育中期から全量)
米糠 濃厚飼料(少量)

 

このようにして食品としての安全性を確保しつつも牛が消化不良で死んでしまうことがないように配合の仕方にもこだわっています。特に、繊維質を多く含む飼料(稲藁やWCS(発酵飼料稲))は胃を整える効果があることを活かし、第1胃に負荷がかかりにくいように工夫されています。
(第1胃に負担をかけないようにすることについての関連記事はこちら→牛のメタンガスを減らす作戦)

(牧場で育てられている牛たち)

牛が消化に良いものを食べれば牛のゲップも緩和されます。ゆうぼくではお肉の柔らかさを保つための成分(例:リン、各種アミノ酸)と繊維質の栄養バランスにこだわりを持って牛を育てています。今ある資源を適切にそしてより適切な配合で活用することで牛、ヒト、地球の命を考えています。

また、牛の住まいにもとても気を使っています。牛は元々決闘種族なので団体で1カ所に住まわせると権力闘争が起こります。強いものと弱いものの順位が確立すれば決闘は収まるようです。しかし、決闘期間、牛はストレスによりかなり免疫が下がるそうです。食欲も下がり、中には病気にかかりやすくなることで、結果、死んでしまう牛もいるのだとか。

ゆうぼくの理想は1頭1頭の性格の特徴、健康上の経歴などを把握してその牛にあった環境で育てたいということでした。ゆうぼく様の牧場の牛たちの顔は愛情いっぱいで育てられているからか、とても穏やかで幸せそうに見えました。

③    1頭の付加価値を高める

「『安い牛肉=価値が低い牛』この従来の概念は本当に正しいのか。」

引き取ったジャージー種の子牛たちを見つめながら岡崎様は表情を曇らせました。ジャージー種は子牛の段階で価値がほとんどない肉牛として処分されます。しかし、ジャージー種の牛もこの世に生まれ大切な命なのに、どうして価値の低いお肉として処分されるのだろう。

普段消費者がなかなか考えることのない社会の理不尽な問題に対して向き合った結果、ゆうぼくではジャージー牛の子牛を引き取ることに決めました。

(西予本店 ゆうぼくの里(精肉・加工品 YUBOKU Natural products 売店))

主に、雄ジャージー牛の肥育を行っています。同じ「命」に少しでも高い価値を付けることを目標に雄ジャージー牛を大きくなるまで育て上げ、おいしいお肉として正当な価格で売られるようなラインを確立しています。

また、牛肉に限らず豚肉に関しても独自の取り組みが行われています。

一般に豚肉の出荷月齢は約6か月だとされています。しかし、ゆうぼくでは「本当に6か月がベストな味なのか」と疑念を持ち、研究の末、6か月肥育から7~8か月肥育にすることでお肉の味を格段に向上させることに成功しました。

安全な状態で、従来妥当とされてきた肥育期間を伸ばすという発想は、よりおいしいお肉を提供しようと挑戦し続けるゆうぼくならではの発想だと思います。

まとめ

いかがでしたか。私たちは訪問時に「人にも牛にも平等な命の価値を確立するためにどうあるべきか」という熱い思いが伝わりました。

先述した内容に加え、私たちが印象的だった事の一つは社員平均年齢が20代後半と若いにもかかわらず、熱意にあふれていたことです。岡崎様は、「社員との距離が近いことが功を奏しており、率直な意見を出し合いながら共に仕事について考えることが出来ます」とおっしゃっていましたが、その言葉の意図するところが訪問を通してわかりました。

愛媛から産業の未来を切り開く若い世代のリーダーのようで、フィールドは異なりますがメンバー一同刺激を頂きました。改めてお礼申し上げます。

さて、2021年最後のコラムとなりますが、2020年においては今回に限らず日毎に素晴らしい方々との出会い、その方々から受ける刺激が、今後自分たちがどうあるべきか考えるきっかけ、未来をより良くするために自分たちにできることはなにかについての企画、学生推進員としてできる具体的な活動を実行することに繋がってきています。これは大変感慨深く、今後の活動の励みになっています。今後も新たな出会い、新たな学びに繋げられるよう2022年も活動していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
(八木新葉)

【参考文献】
Daiwa House Group『What’s Sustainability?』
株式会社ゆうぼくHP
ECCCA WEB MAGAZINE『牛のメタンガスを減らす作戦』
Unicef『SDGs17の目標』
独立行政法人労働政策研究・研修機構『早わかりグラフで見る労働の今 産業別就業数』
農研機構『牛における濃厚飼料および稲発酵粗飼料中のリンの第一胃内消化率』
有限会社矢野畜産『肉の手帖 粗飼料と濃厚飼料の種類・役割について。』
粗飼料と濃厚飼料の種類・役割について。 | 有限会社矢野畜産 (yanochikusan.co.jp)
久米新一『高泌乳牛の移行期の特徴と移行期におけるミネラル代謝の改善』『京都大学大学院農学研究科』

この記事を書いた人

愛媛県学生地球温暖化防止活動推進員

愛媛県地球温暖化防止活動推進センターより委嘱を受けて活動しています。