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COLUMN&INTERVIEW

パーム油と森林伐採について思う私たちにできること

愛媛県学生地球温暖化防止活動推進員の松村唯美です。
学生推進員で行っている対話会のテーマであった「パーム油と森林伐採」から学んだこと・調べたことを紹介します。

お菓子やインスタント食品、洗剤についている表示を見たことがありますか?
これらには製造過程において油が使われており、植物性油脂、植物油脂などと表示されています。この「植物油脂」のほとんどはアブラヤシから取れるパーム油です。今回は、このパーム油の現状についてご紹介します。

パーム油とは?

アブラヤシの果実から得られる植物油で、狭い面積でもたくさんの油を採ることができます。(大豆油の10倍)

なかなか聞き馴染みのない方も多いかもしれませんが、このパーム油はお菓子や日用品にといった身近なものに使用されている上、石鹸や原油の製造にも用いられているほど汎用性のある油なのです。
日本人は1人当たり年間約5㎏のパーム油を使用しています。日本だけでなく、世界各国で大量に消費されるため需要が大きく、結果として様々な問題を引き起こしている現状があります。

パーム油生産にまつわるさまざまな問題

環境問題
パーム油は、インドネシアとマレーシアで急速に森林が減少する一因になっています。
パーム油の元になるアブラヤシという植物は油糧作物のなかでも単位面積当たりの油の収量が最も多いのですが、世界各国で急増する需要を満たすために次々とアプラヤシ畑が増え、替わりに森林が消え、森を生息地とする野生動物が減っています。これでは、二酸化炭素排出量の増加による気候変動や生態系にも悪影響を及ぼします。
森林伐採により肥えた土壌が損なわれ、山肌も崩れやすくなってしまうことで、気候変動による異常気象の影響を受けやすくなります。

生産地での労働問題
大量に需要が生じたため、新参のパーム油製造業者と既存の地主たちの間に激しい競争が起こっていたり、児童労働の問題も発生したりしています。
その上、労働者たちは、長時間労働、過大な目標、深刻なケガ、低賃金に苦しんでいることも多いのです。

パーム油の使用を抑えればよいのか
例えば、パーム油の代わりにひまわり油を使用すると、世界各国の需要量を満たすためには現在の4〜10倍以上の土地が必要になり、さらに農薬と肥料の使用量が増え、環境破壊を進めてしまうかもしれません。
また、インドネシアやマレーシアでは、この産業はパームプランテーション農家の雇用と国の経済にとっての貴重な外貨獲得源でもあります。

RSPO認証マークとは?

持続可能なパーム油製品の生産・購買・融資・利用を促進する「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」認証制度があります。
環境に対する責任と適切な労働条件を実践している生産者を監査・認定し、持続可能なパーム油を使用している製品にはラベルがつけられています。
消費者はラベルを見て、その製品の生産者がより持続可能な生産プロセスへの移行を進めていることを知ることができます。

RSPO認証の取得は、高い費用や知識の必要性から大規模な農園企業が中心であり、小規模農家のRSPO認証取得に必要な支援や指導は限られているため、残念ながら生産地ではRSPO認証が進んでいない現状があります。
そのため、生産地では独自の国内基準(ISPO/MSPO)を設け、自国で生産されるパーム油全量を認証することで、地方の所得向上や貧困削減につなげることを目指しています。
2020年東京オリンピック・パラリンピック委員会は、持続可能性に配慮したパーム油の調達基準について議論した結果、運用状況を注視しつつも、RSPO、ISPO/MSPOとも持続可能な認証として採用することを決めました。公的な機関としてISPO/MSPOを持続可能性認証と認めた初のケースです。
消費国では、こういった現状を知り、受け入れを進めていくシステムの確立も大切です。

消費者ができることはある?

私は、「持続可能で倫理的なやり方で栽培された製品を選んで購入すること」が1番に思い浮かびました。
この対話会をきっかけに認証されたパームを使用している企業を調べてみました。聞いたことのある企業の名前もいくつかあり、少しずつ取り組みが広がっていることを嬉しく思いました。

また、この問題を認知できたことで、実際に店に赴いた時に「RSPO」のマークがある商品に気がつくことができるようにもなりました。意識して探してみてもマークのついた商品はかなり少なかったことと、値段が少し高かったことが印象的で、この問題との向き合い方にはまだまだ課題が残されているようにも感じます。

緑色の「RSPO」のステッカーがついた商品を選んで買うことや、認証されたパーム油を使用している企業を調べてみるといった消費者の購買習慣を通して持続可能性の価値を企業に認識させることができれば、変革のきっかけになるかも知れません。

ボルネオ島の写真提供:越智 由佳氏
参考資料:パーム油白書2019(認定特定非営利活動法人 ボルネオ保全トラスト・ジャパン)

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この記事を書いた人

ECCCA

愛媛県地球温暖化防止活動推進センター 愛媛県における温暖化防止活動をサポートし、実践活動、情報提供やコーディネートを行っています。