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COLUMN&INTERVIEW

森のハーブ “クロモジ“ で健やかに

皆さんは風邪の予防に、どんな工夫をしていますか?

日本人は昔から、体を温めるために根菜を食べ、ショウガ湯や葛湯を飲み、咳にはレンコンでお手当てするなど、身近な畑からとれるものを時にはお薬のように活用してきました。

先人たちは、自然や植物の力を意識した健康法を知っていたのですね。

そして植物と言えば、私が以前のコラムでご紹介した「日本の森のアロマテラピー」も、持続可能な未来につながる健康法です。

今回は、日本の森のアロマやハーブの中でも近年注目されている「クロモジ」をご紹介します。

クロモジとは

クロモジ(黒文字)はクスノキ科の落葉低木で、枝の模様が文字のように見えることから名づけられました。高さは2~3m位の細長い木で、早春には小さな黄色い花を咲かせ、県内にも自生しています。


(クロモジの花)

葉や枝からはすっきりとして上品な、それでいて少しフローラル調の香りがします。
まさに「森のハーブ」。

昔から和菓子の高級楊枝として使われたり、お茶として飲まれたりしてきました。
クロモジには鎮静、抗菌、消炎作用や、体を温める作用などがあるとして、生薬にも使われています。

また、愛媛大学医学部と養命酒製造株式会社の共同研究で、クロモジエキスがインフルエンザの抑制に効果があったと報告されたことでも、よく知られるようになりました。
愛媛大学 プレスリリース資料より
クロモジとインフルエンザ(クロモジ研究会HPより)

クロモジとアロマ


(クロモジを浮かべて芳香浴)

アロマテラピーでも、クロモジは上品で落ち着きのある香りです。

私はアロマの教室やイベントで、参加者の方に好きな香りを選んで頂きます。
嗅覚は脳の本能と直結しているので「好きな香りを嗅ぐこと」で「瞬時に気分転換できる」からです。一般的にリラックスしたい、良く眠りたい、といった希望がある時は、まずラベンダーからおススメすることが多いのですが、中にはラベンダーの香りはちょっと苦手、という方もいらっしゃいます。

ラベンダーもクロモジも、鎮静作用が期待できるリナロールという成分を含んでいるので、代わりにクロモジを勧めると、好き、落ち着く、といった感想を頂くことがとても多いです。

性別や年齢に関係なく好まれるのは、やはり日本の土地で育った植物だからだと思います。クロモジ精油は日本各地で生産されていて、県内でも久万高原町や西条市でクロモジの精油や蒸留水が作られています。

(マグカップで芳香浴 *誤って飲まないようにご注意ください)

一番手軽な楽しみ方は、やはり芳香浴です。

クロモジ精油を1滴、お湯を入れた器にたらすだけで部屋にほんのりと香りが広がります。
スプレータイプの蒸留水(クロモジウォーター)は、そのままルームスプレーとして使えて便利です。

和の香りは食事のシーンと重なってもさほど気にならないのもいい所だと思います。

またアロマテラピーでは何種類かブレンドすることで、香りにさらに奥行きが生まれます。

私はクロモジの他、ヒノキやスギといった愛媛の森林資源で作られたアロマを多くの方に知って頂きたいと、昨年「Kie(キエ)」というブレンドアロマオイルを作りました。

仏教用語の「帰依」に由来し、使うことで森も人も健やかになること願って名づけました。イヨカンやユズなどの愛媛産の柑橘精油と、ラベンダーなどをブレンドし、香水のようにふくよかでありながら、森に行った時のように思わず深呼吸したくなる香りです。

使った方からは「すっと自然に胸の奥に入ってくるようで落ち着きます」と言われます。

そのほかの使い方

またクロモジは、お茶や料理でも手軽に楽しめます。

県内では、枝や葉を乾燥させたシンプルなクロモジ茶だけでなく、無農薬のいよかんピールや県内産のハーブ、薬草とブレンドしたハーブティー、スパイスとブレンドしたクロモジチャイや、料理に混ぜて使えるクロモジパウダーなどが作られています。

どれも体が温まり、ほっとする香りと味わいです。クロモジ茶を煮出してお風呂に入れると、天然の入浴剤にもなります。

森も人も健康に

持続可能な未来を考えた時、森林環境はとても重要です。森は二酸化炭素を吸って、酸素を出すからです。

クロモジは、手入れされて日が差し込む、ヒノキなどの育成林や雑木林に育ちます。森が健やかであればこそ、私たちは今も、この先もクロモジを楽しむことができますし、健やかな日本の森はきれいな水や空気を未来に届けてくれます。

(林道沿いのクロモジ(久万高原町))

私たちは自然から恵みを頂くことが多いですが、使うことで循環が生まれるっていいな、と思います。
愛媛に住む私たちの身近にある日本の森のハーブ「クロモジ」。機会があればぜひ試してみてください。

【参考サイト】
NPO法人くまーるの森びと「クロモジ精油」
NPO法人西条自然学校 「クロモジ精油」
Kie(キエ)
筒井農園 「クロモジ茶」「野草茶」(写真の赤いパッケージ商品)
香草スタイル NaturalSpace タッジー工房 ブレンドハーブティー「shiho」
久万山スパイス「クロモジチャイ」「クロモジパウダー」

【参考文献】
「<香り>はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療」 塩田清二著(NHK出版)

この記事を書いた人

児玉 三由(こだま・みゆき)

Act Kie(アクトキエ)代表。アロマ空間プロデューサー。講師。アロマセラピスト。 家族の健康管理に20年以上アロマテラピーを利用してきた経験をいかし、2015年に起業。間伐材を利用した日本産、特に愛媛産の森林のアロマの普及に力を入れている。愛媛産の森と柑橘精油を使ったフレグランスアロマ「Kie(キエ)」開発。香りを通して自然と繋がり、人も地球も健やかになる暮らし方を提案中。 (公社)日本アロマ環境協会資格認定スクール運営。 https://himawari-aroma.com/ https://www.instagram.com/act_kie