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COLUMN&INTERVIEW

レジ袋有料化から1年~地球・私たちにもたらした影響とは~

皆さんは買い物をする際にレジ袋を使っていますか、それともマイバッグを利用していますか?

2020年7月1日から政府は「プラスチック資源循環戦略」に基づき、「容器包装リサイクル法」の関係省令を改正し、レジ袋の有料化義務化を始めました。

そして、今月で1年が経ちました。
私は、街中でレジ袋を持っている人が少なくなっているのではないかと実感しています。

なぜレジ袋有料化に踏み切ったのか?

そもそも、排出されたレジ袋の問題のひとつとして、海洋プラスチックゴミになり、魚やウミガメが餌と勘違いして口にして、死んでしまうことがあります。
食べられたレジ袋などのプラスチックは消化されないため、栄養不足であるが空腹ではない状態が続き、栄養失調に陥るからです。
このことについては来月のWeb マガジンで詳しく説明します。


(参考)blueoceanaction instagram

その他の問題としては、プラスチックを焼却炉で燃やすと高温で燃えるため焼却炉への損傷が生じるほか、埋め立てると分解されない・含有されている悪性物資が土壌に流れ出て土壌汚染にもつながります。
そして、プラスチック自体は分解されないため半永久的に環境内に存在し続けてしまいます。

また、環境省・経済産業省の調査によると、

  • 日本は主要地域・国の中で2番目にプラスチック廃棄量が多い
  • 世界60カ国で禁止・有料化・課税などの規制がある
  • 2050年にプラスチックの製造・廃棄に必要になるCO2は全体排出量の15%を占める予報
  • 中国が輸入禁止したため、資源として輸出する廃プラスチック量・国内で処理にかかるコスト増大
  • 2050年には海域に流れるプラスチックごみの量が魚の量を上回ると試算
  • 大阪湾にはレジ袋300万枚が沈んでいると推計されている

このようなものがあります。

これらの問題を解決するために2020年6月25日から1週間、レジ袋を使わない人を6割にすることを目標とした、「みんなで減らそうレジ袋チャレンジ」が発足しました。
そして、7月1日からプラスチック製買い物袋を扱う小売店で有料化が始まりました。

(参考)「レジ袋削減にご協力ください!」経済産業省

実際にレジ袋は削減されたのか?

今月1日でレジ袋有料化から1年経ちましたが、実際に私達を含めた消費者はどれだけレジ袋を断り、どの程度削減に効果があったのか見てみましょう。

結論からいうと、8割の人がスーパーなどでレジ袋を辞退しているという報告書が環境省から出されました。
さらに、レジ袋の流通量も35%減少したという推計もあります。

業界別にレジ袋辞退率を見ると、下の表のようになります。

さらに、大手コンビニエンスストアの発表に限ると、

  • セブンイレブン: 75% (2020年7月~2021年2月)
  • ローソン: 75% (2020年7月~2021年2月)
  • ファミリーマート: 77% (2020年7月~2021年5月)

このような結果になり、ファミリーマートの発表によると2019年度実績比からレジ袋は年間約23億枚の削減に、セブンイレブンによると、2021年2月までで、約8000-トンのプラスチックごみ削減につながったと明記しています。

ポリ袋の使用量は増加中している!?

ひとつお聞きしたいのですが、レジ袋を可燃ごみなどのゴミ袋として利用していた方っていませんか?
紙袋より耐水性があり、かさばらないため、非常に便利ですよね。

実際に、レジ袋有料化後にポリ袋をゴミ袋として購入する人が増えたとの報告もあります。

私自身も、100均でポリ袋をゴミ袋として購入することが有料化前より多くなりました。

先日のFNNプライムオンラインニュースで、コンビニエンスストアでの変化・街の人の声を取り上げております。

ここでも、レジ袋の辞退率は上昇しているが、ポリ袋をゴミ袋として購入している人もいることが分かります。

このようなことから、プラスチックごみ全体量の増減は不透明になります。
有料化によって日本国内のレジ袋を始めとするプラスチックごみが減少しているのであれば効果はあったと言えますが、レジ袋は減ったが、プラスチックごみ全量は変化がなかったとなれば効果はほとんどなかったと言えるのではないでしょうか。

環境以外の問題も・・・

レジ袋を辞退し、マイバッグにすることで衛生面・万引きなどの問題も出てきています。

衛生面については、レジ係の人がマイバッグに袋詰めする場合もあり、時間が余計にかかるほか、誰が触ったか分からないマイバッグに触れなければならないため、衛生面での不安が大きくなっているとも言われています。

また、マイバッグの使用率上昇に伴い、普及し始めた2000年代より万引きが増えたことが分かっています。
さらに、新型コロナウイルスによって全員マスクをしているため、犯人の特定が難しくなっているとも言われています。

有料化による我々消費者の意識の変化

反対に、レジ袋有料化政策が、消費者の意識の変化・企業の社会貢献を促していることは明らかになっています。

環境省の報告によると、「レジ袋有料化が開始してからプラスチックごみへの関心が高まり、行動・意識に変化があった」という人の割合が全体の約30%いました。

行動の内容としては、「マイバッグの購入・さらなる利用」、「海の生き物への影響を気にするようになった」という結果が出ています。

また、昨年の9月に行われた、消費者庁の「レジ袋有料化に関する意識調査」によると、「7月のレジ袋有料化からレジ袋辞退するようになった人」の割合は32.8%になります。

年代別に辞退率を見ると70歳代以上の方が40.6%と最も多く、続いて20歳代(39.3%)、30歳代(38.5%)となっています。

その一方で、「現在もレジ袋を利用している」と回答した人の割合は20歳代が17.9%と最も高くなっていました。


「レジ袋有料化に関する意識調査結果」消費者庁より作成

以上のことから、日本全体でレジ袋有料化に伴い、辞退する人が増加するほか、環境への意識も高まっていることが分かりました。

しかし、依然としてレジ袋を利用していること、年代によって意識の差が生じていることも明確になりました。

まとめ

レジ袋有料化から1年が経ち、私達への意識づけとしては大きな効果が得られているのではないのでしょうか。

しかし、日本のプラスチックごみの全体量の増減は不明であるため、今回のレジ袋有料化政策によって少しでも日本から排出されるプラスチックごみが減少したら政策の効果があります。

反対に、プラスチックごみ全体量に変化がなかったとしたら、効果はほとんどなかったと言えるのかもしれないです。

今回、レジ袋有料化の背景・結果や効果についてみてみましたがいかがだったでしょうか。

私は、私も含めた消費者の意識改革、行動の変化によっては、環境負荷を減らしていくことが可能であると信じています。

今後も、このWebマガジンを通して、環境への意識・選択を増やしていただけると嬉しいです。

(学生推進員 平井聡一郎)

【参考文献】
・LAWSON
省資源 レジ袋・割り箸の削減での取り組み
・Family Mart
8月のレジ袋辞退率は77%、レジ袋の削減枚数は年間約23億枚見込みに~ファミペイでたまる「ファミマエコスタンプ」は累計約1,200万個を進呈~
・日本経済新聞
マイバッグで万引き スーパーや書店、自衛に腐心
・環境省
令和2年11月レジ袋使用状況に関するWEB調査
・経済産業省
レジ袋削減にご協力ください!
・消費者庁
レジ袋有料化に関する意識調査結果[参考・8月(確報)]レジ袋有料化に関する意識調査結果

この記事を書いた人

ECCCA

愛媛県地球温暖化防止活動推進センター 愛媛県における温暖化防止活動をサポートし、実践活動、情報提供やコーディネートを行っています。

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