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COLUMN&INTERVIEW

SDGs連載【第3回】SDGs新居浜KITEの取り組みと、カードゲーム「2030SDGs」

持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標「SDGs(エスディージーズ)」。今回は、このSDGsについてお伝えする連載の【第3回】。新居浜市職員で、環境教育の普及を目指すSDGs新居浜KITE代表 大西政年さんに話をお聞きしてきました!大西さんがSDGsに取り組むようになったきっかけ、SDGs新居浜KITEの活動、そしてカードゲーム「2030SDGs」について、詳しくご紹介します。

この記事で分かること

  • 大西さんのSDGs取り組みのきっかけ
  • SDGs新居浜KITEの取り組み
  • カードゲーム「2030SDGs」とは
  • 私たち個人ができること

大西政年さんのプロフィール

大西政年さん

SDGs新居浜KITE(カイト) 代表/新居浜市 企画部 地方創生推進課 移住定住推進係長

1974年愛媛県新居浜市生まれ。大学進学でアメリカに渡り、地理学を専攻。GISなどの地理情報システムや、環境についても学ぶ。また、日本とは全く違う環境で生活する中で、人種差別などにも遭遇した。その後、新居浜市役所への入職を機に帰郷。以来、社会体育、NPO・ボランティア、財政、地域コミュニティなど様々な業務に携わり、現在は地域創生推進課において移住定住を促進する。

SDGsに取り組みはじめたきっかけは?

私がSDGsに取り組むようになったきっかけは、新居浜市の子どもたちへの「ESD(持続可能な開発のための教育)」です。新居浜市では、かつて別子銅山による煙害で海や山の環境破壊が起こった歴史から、環境教育が盛んに行われてきました。

平成26年度には、新居浜市の小中学校26校が「ユネスコスクール(ユネスコの理念に沿った取組みを継続的に実施している学校)」の承認を受け、現在も継続してESDを推進しています。各学校がその地域の特性を生かしたテーマを立て、それに基づいて学習し、世界的な視野を広げ、SDGsの達成に向けて自分たちにできる事に取り組んでいます。ただある時、子どもたちは未来のために学びを深めているのに、大人がそれを知らなければ家庭で共有できないのでは…と気づいたのです。

【参考】新居浜市教育委員会/ESD通信

SDGs新居浜KITE(カイト)は、どのような活動をされていますか?

大人の環境教育の必要性を感じて以降、もともと「SDGs」に興味を持って学んでいた事もあり、教育委員会とタッグを組んで保護者向けの講演会を実施することから始めました。そこから、子どもの小・中学校のPTAの有志が中心となって集まり「もっと大人に環境教育を広げたい」という目的で、2019年に「SDGs新居浜KITE」を立ち上げました。

KITEという名前は、「社会の変化を風に例えた時、その変化に乗る凧(kite)でありたい」ということ、そして鳥(トビ=kite)の視点で地域や世界を俯瞰して見たいという想いで命名しました。もちろん、新居浜愛の強さから「新居浜にKITE(来て)」という意味も込められていますよ(笑)。

活動のメインはカードゲームを活用したSDGsの普及です。当団体には、SDGsの目標達成のために現在から2030年までの道のりを体験するためのカードゲーム「2030SDGs」の公認ファシリテーターが2名、そして地方創生をテーマとしたカードゲーム「SDGs de 地方創生」の公認ファシリテーター2名が在籍しており、ゲーム実施の依頼があればメンバーを派遣します。これまで、市町村の職員、議員、また学生を対象に実施してきました。最近では、一般企業様に出向いて開催する機会も増えてきました。

SDGs新居浜KITEでは、SDGsの「誰ひとり取り残さない」という精神を元に、これらの普及活動にとどまらず、広い視点を持ったメンバーが多様な活動を行っています。

【参考】SDGs新居浜KITE Facebookページ

カードゲーム「2030SDGs」とは?

私たちがSDGsの普及活動に活用しているカードゲーム「2030SDGs」とは、17の目標を達成するために現在から2030年までを疑似体験するゲームです。「なぜ世界にはSDGsが必要なのか」「SDGsがある事により、どんな変化や可能性を秘めているのか」を理解することを目的としています。

ルールはシンプルで、与えられた「お金」「時間」のカードを使い、例えば「交通インフラの整備」などといった様々なプロジェクトを実施することで、ゴールを目指すというもの。それらを進めていくうちに、会場のホワイトボードに示された「世界の状況メーター」が変化します。これは、「経済」「環境」「社会」という項目別に色付きのマグネットが増減し、それにより自分たちがどのような社会を作り上げているのかが目で見て分かる仕組みになっています。

このゲームの背景には「世界はつながっている、そして私も起点」という言葉があります。このゲームを通して、このSDGsを”自分ごと”として捉えられる人が増えることを願っています。

ゲームについて詳しく知りたい方は、イマココラボのホームページ“カードゲーム「2030SDGs」の紹介“をご覧ください。

【参考】カードゲーム「2030SDGs」の紹介/イマココラボ

私たち個人では、何ができますか?

私は、”自分ができること”は自分で考えることしかできない。自分の中にしか答えはない、と思っています。そして、答えはみんな違って良いし、その答えも変化していくものだと思います。

あなたなら、どうしますか?

あなたが、SDGsの17の目標の中で、一番大切にしたいのは何番ですか?

私は、「5:ジェンダー平等を実現しよう」に着目しています。PTA活動を進める中で、意思決定する役員などは男性社会なのに、ベルマークの集計や事務作業など現場で働いているのはお母さん達という現実を目の当たりにしました。昔からこびりついている、その「価値観」に大きな違和感を覚えたことがきっかけです。

みなさんも、ぜひ一度考えてみてください。

【参考】SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説/イマココラボ

今回、実際に「2030SDGs」ゲームの現場を取材させていただきました。参加者は、ゴールの達成を目指してメンバーと話し合い、様々なプロジェクトを実行。しかし、前半(ゲームは二部制)が終わった段階で「経済」「環境」「社会」のうち「経済」が突出した社会が実現してしまい、そのバランスの難しさを痛感しておられました。大西さんの解説の中で「環境と経済は表裏一体」という言葉がありました。例えば、昨今の新型コロナウイルス対策で「経済」と「ウイルスの流行」の関係性が複雑であるのと同様、どちらかを守ろうとすれば、どちらかに影響があり、非常に難しい課題があると感じました。

しかし、「環境保全は、私の役割ではない」と考えるのではなく、私たち一人ひとりの行動が持続可能な社会につながるということは理解しておく必要があると思いました。私も、エシカル消費(地域の活性化や雇用なども含む、人や地球環境、社会に配慮した消費やサービス)を意識した買い物を心がけるなど、自分ができることから少しずつ始めていきたいと思います。

【参考】エシカルとは/一般社団法人エシカル協会

次回以降も、SDGsについての連載は続きます。お楽しみに!

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この記事を書いた人

三神 早耶(みかみ・さや)

愛媛県松山市在住。大学卒業後、広告代理店の営業や進行管理などを経て、2016年からフリーライターに。ビジネスメディアや、地元経済誌、企業のWebサイト等において、取材や記事の執筆をしています。私生活では2児の母。趣味はキャンプと仕事。