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COLUMN&INTERVIEW

えひめの環境の未来を考えるシンポジウム~私たちにできることはまだある~

愛媛県学生地球温暖化防止活動推進員の平井聡一郎です。

2020年10月3日(土)に愛媛大学で行われた「えひめの環境の未来を考えるシンポジウム」について報告します。

愛媛県では2050年に温室効果ガスの排出をゼロにする「脱炭素社会」へ向けて、第三次えひめ環境基本計画や「緩和策」「適応策」両方を地球温暖化対策として推進していく愛媛県地球温暖化対策実行計画を今年2月に策定しています。さらにその達成を目指すべく、今年の4月に愛媛県気候変動適応センターを設置し、愛媛県で行うことができる地球温暖化への適応策の調整や研究を行い、環境先進県を目指した活動を行っています。

104名が参加した今回のシンポジウムでは、3名の講師により気候変動の現状・適応策と災害が生じた時の防災について講演が行われました。

将来どうなる??気候変動の影響

国立環境研究所 社会システム研究センター主任研究員 岡田 将誌氏より、将来起こりうる多様な環境リスク、異常気象や愛媛のミカン産業について講演が行われました。

「もし平均気温が今より1℃上昇すると地球全体で持続不可能になるリスクが高まります。特に生態系や氷床、気象現象に大きな影響が出ます。皆さんも平成30年の西日本豪雨災害を経験されたと思いますが、気温上昇により、西日本豪雨のような短時間で集中的な豪雨の回数が今の2倍程度に増えます。さらに、気温上昇により愛媛の代表的な農産物であるみかんの生育適地から愛媛県が外れる可能性もあります」

逃げるは恥ではありません。まず逃げましょう

日本テレビお天気キャスター 木原 実氏とそらジローより、豪雨時の雨・土砂・風の危険性や地震と防災グッズについて講演が行われました。

「災害によって家の中で避難する場所が違います。もし、土砂崩れや大雨ならすぐに2階へ避難しましょう。しかし、暴風の時は2階に避難してはいけません。1階の頑丈なところに避難しましょう。南海トラフ地震が30年以内に来るという話は聞いたことがあると思います。皆さんがもし家の中にいた時は防災キッドを持っていけばいいですよね。もし、外出先で被災しても今はコンパクトな防災キッドがあるので、いつでも・どこでも自分の身は自分で守れるようにしておきましょう」

気候変動と私たち

愛媛大学社会共創学部 環境デザイン学科 李 賢映准教授より、気候変動対策の歴史、県の家庭部門での対策、日本人のもったいない精神について講演が行われました。

「2015年のCOP21でパリ協定が採択され、温暖化を2℃未満に、できれば1.5℃未満にしましょう。また、二酸化炭素排出量も実質ゼロにしていきましょうという方針がなされましたね。日本でも2030年までに26%、2050年までに80%削減すると打ち出しました。愛媛県では、家庭内の二酸化炭素排出削減に力を入れましょうという声明が出されました。あと、私たちが安いからという理由で買っている商品がどこから来ているのか、買うことで工場を稼働させて、二酸化炭素を排出しているということを考える習慣を付けましょう。さらにここに、日本人が持っているもったいない精神が加われば二酸化炭素排出を抑えることができるはずです。皆さん一緒に未来をいい方向に変えていきましょう」

シンポジウムに参加して

「ミカンは異常気象により実と皮の間に隙間ができてしまう、そうなることで、運送時に傷みやすくなる、気温が上昇するとミカンは生育適地でなくなる」という岡田氏の話に驚愕し、納得しました。

ミカンは愛媛県の代表農産物であるが、地球温暖化によって生育適地でなくなるのであれば、別の農産物でブランド化していく方法か、品種改良に力を入れ、今より暖かくなっても今と同じ、または今以上の味が保てるようにしていくような適応策が求められるのではないかと思います。

また、木原氏の話から、私自身の日々の防災への心がけの薄さに気づかされました。今後以前のような豪雨や大地震の際に自分で自分の命を守れるようにまずは、自分の家に防災グッズを置き始め、避難所の位置や経路についての情報を得るようにしました。

そして、李准教授の話より、アパレル業界が甚大な環境汚染をしていることは知らなかったのでとても勉強になりました。

アパレル業界は二酸化炭素排出率が10%にも及ぶ業界です。生産するにも処分するにも二酸化炭素が排出されます。また、水の汚染源の第2位にもあたります。衣類の染色用のインクが水質汚染の原因になっているのです。私も、これまでは新作が出たり安い服を見つけたら飛びついたりしていましたが、自分の購買活動を見つめなおし、今ある服をもっと利用しようとしています。

今回、私が参加してみて、知らないことが多く非常に勉強になりました。環境問題と聞くとどこか大きな問題と感じてしまい、私達にできることを見失いがちですが、小さなことでも、自分たちの生活内に組み込めないか・変えることはできないかということを考えていき、周りの人たちに環境問題への意識を伝染していくことができたらいいですね。

この記事を書いた人

ECCCA

愛媛県地球温暖化防止活動推進センター 愛媛県における温暖化防止活動をサポートし、実践活動、情報提供やコーディネートを行っています。

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